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海防法のEEZへの適用

 
海上保安大学校教授 村上暦造
 
? EEZに対する国内法令の適用
 
1 EEZの設定
(1)国連海洋法条約の批准
わが国は、平成8年6月、国連海洋法条約の批准にあわせて、関係国内法を整備した。その一つが、「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」(平成8年6月14日、法律第76号、以下「EEZ・大陸棚法」という)であり、これによってわが国も、初めて200カイリの「排他的経済水域」(EEZ)及び「大陸棚」を設定することとなった。この法律は、領海外にわが国がEEZ及び大陸棚を設定することを宣言すると共に、そのEEZ及び大陸棚に我が国の国内法令を適用する旨の規定をおいている(EEZ・大陸棚法第3条)。これにより、海洋汚染に関する国内法である「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下、「海防法」という)が、EEZ及び大陸棚にも適用されることとなったが、本稿では、その適用の拡大と内容を検討することにしたい。
(2)適用関係の拡大
EEZ・大陸棚法制定以前は、わが国の国内法令の領海外への適用について、漁業関係法を除いて、明示するものはほとんどなかった。特に、海防法は、「船舶から海域に油を排出してはならない」とか「海洋に船舶等を廃棄してはならない」といった文言を用いて、その適用海域及び適用対象を明示した規定をおいていなかった。このため、理論上も、実務上も、海防法の適用海域及び適用対象をめぐって議論がなされてきたところであった。それに対して、平成8年の「EEZ・大陸棚法」は次のように規定して、国内法令の

 

 

 

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