代謝活性化法では、いずれの被験液濃度も復帰コロニー数は陰性対照の復帰コロニー数の1.5倍以下であった。
4.3 2回目本試験
2回目本試験結果を表6と表7に示す。また、表6の各濃度の復帰コロニー数を陰性対照の復帰コロニー数で割った数値を表8に示す。各試験菌株のS9mixの有無ごとの被験液濃度と復帰コロニー数の関係を図1〜図5(1回目本試験結果を含む)に示す。
TA100,TA1535,WP2uvrA,TA98およびTA1537菌株の直接法、代謝活性化法とも、いずれの被験液濃度でも陰性対照に対する復帰コロニー数の比は1.5倍以下であった。
5. 本試験の判定と考察
5.1 判定
本試験条件下において、本被験物質は、陰性と判定した。判定理由は下記による。1回目本試験の結果、TA1535菌株に対して、直接法の被験液濃度0.313,2.5,5.0mg/プレートおよび代謝活性化法の0.313mg/プレートの条件では、復帰コロニー数が陰性対照の1.8倍、1.6倍、1.7倍および1.6倍に増加した。また、TA1537菌株も、1回目本試験の被験液濃度1.25mg/プレートでは、復帰コロニー数が陰性対照の1.6倍に増加した。しかし、これらの増加は、2回目本試験では観察されず再現性が認められないことから、偶発的なものと考えられた。
一方、陽性対照では、それぞれの菌株に対して陰性対照の2倍以上の復帰コロニー数を示した。さらに、無菌試験の結果、プレート上に試験菌株以外の雑菌が混入していないことを確認したので、本試験は適切に実施されたと判断した。
5.2 考察
本被験物質は、精製水への溶解性が良く、5mg/プレートの高濃度被験液においても、菌懸濁液、S9mix、および軟寒天を混合した際に、結晶化や懸濁化等は観察されなかった。従って、試験菌株への被験液の暴露は適切に行われているものと判断された。
菊池らはTA1535およびTA1537菌株は、陰性対照の復帰コロニー数の数が少なく、しかも変動範囲に幅のある菌株であり、復帰コロニー数が3倍以上に増加した場合に陽性とする判定基準を採用している試験機関もあることを報告している。従って、1回目本試験でこれらの菌株が1.5倍以上を示した試験条件では、偶発的に復帰コロニー数が増加した可能性があるものと考える。
本試験では、被験物質の濃度をGLP基準で規定されている5mg/プレートを最高濃度として実施したが、いずれの試験条件においても各菌株に対する生育阻害は観察されなかっ