日本財団 図書館


付随した特別な負担の調整に関する連邦、ノルドライン・ヴェストファーレン州およびボン市の協定」(1970年1月1日施行)が結ばれると、状況は変わった。この協定により、ボン市は「その全体的任務の範囲内において、また適切な期限内において、連邦の目的に仕えると同時にボンにおける連邦機関の活動に不可欠であるところの自治体施設を設置し、維持する」よう義務づけられた。この協定では、連邦首都ボンの任務として「連邦政府所在地としての都市の風貌、堂々とした都市景観の形成と維持、効率的な会議場の維持、首都の文化的行事の挙行、ドイツ文化育成の適切な代表、観光の振興と連邦機関の訪間者の世話」が明記された。これに対応して、連邦は「連邦政府の所在地としてのボンの任務から生じる特別な負担の調整のために、1970年1月1日から1979年12月31日まで毎年、連邦目的の実現に要する経常経費への補助金ならびにボン市の投資経費への補助金および貸付け」を保障することを義務づけられた。この協定によって、ボン市は1979年までに連邦から約6億7000万マルクの財政的支援を受けたが、その内370万マルクは投資的経費、300万マルクは経常的経費に向けられた。
 1975年9月11日には、「連邦首都としてのボンの継続的建設に関する協定」がボン、ノルドライン・ヴェストファーレン州および連邦の間に結ばれた。これは、国会所在地区および政府官庁所在地区の開発措置への財政的支援に関する協定であり、ボン市は連邦から1979年までに1億2000万マルクの支援を受けた。これらの協定以外による財政支援を含めると、1970〜79年の間にボン市は連邦から総額9億マルクの財政支援を受けている。
 さらに、1980年3月18目には上記の70年協定を10年間延長する協定が締結され、この協定はボンからベルリンヘの首都移転にいたるまで実施された。

(参考文献)

(1)「国土庁における首都機能移転の状況一国会等移転調査会ドイツ調査団報告一」(国土庁大都市圏整備局編、平成7年5月)

(2)「首都機能再配置の海外事例」(東京都議会局、平成6年7月)

(3)「統一ドイツの地方自治事情」(東京都議会局、平成7年7月)

(4)「海外の地方分権事情地域と自治体23」(藤岡純一・自治体問題研究所編、自治体研究者、1995年11月)所収の「ドイツの地方分権」(拙稿)

(5)「世界の大都市1994」(日本貿易振興会編、平成6年3月)

(6)Dietrich Horoldt(Hrsg.)、Geschichte der Stadt Berlin,Band 4,DummIer,1989.

(7)Ernst R.Zivier,Verfassung ung Verwaltung von Berlin,Berlin Verlag 1990.

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION