の番号が郵便番号と自動車の登録番号にも利用されている。
分権化改革により、国の官吏である知事に代わって、県議会議員の互選によって選出される県議会議長が県行政の長となった。それまでの県議会議長は対外的には県議会の代表者であるにとどまり、大都市の市長などと較べると地味な存在であったが、改革後は名実ともに県の顔としての役割をはたしている。
県の管轄に属する行政権限のうち、社会福祉に関するものが最も重要であり、かつ大きな比重を占めている。県は、児童福祉、母性保護、予防衛生など広い範囲の責務を負い、また身障者施設や老人福祉施設を運営している。
県議会議員の任期は6年で、県内の各カントン(canton)から1名ずつ選出される。カントンは郡と訳されることもあり、かつては自治体として機能したこともあったが、現在は選挙区としてのほか、ごく限られた分野で国の行政区画として利用されているに過ぎない。カントンごとの人口格差は相当大きいが、抜本的な選挙区の是正は現職議員の抵抗により困難であり、結果的に農村部の過剰代表となっている。選挙は小選挙区二回投票制によって行なわれ、第一回投票で有効投票の過半数がつ有権者の4分の1以上の票を獲得した候補者がいない場合には、有権者の10%以上の票を得た候補者について第二回投票を実施し、最多得票者を当選とする。
(3)州
州制度の直接の起源は、1960年に数県を統合した区画として設定された地域経済圏にある。このときフランス本上は21に区画され、のちにコルシカ島を加えて現在の22州が成立した。州は、1972年にポンピドゥー大統領の下で、一種の特別地方公共団体としての地位を得た。さらに1982年、分権化改革の開始とともに、公選の議会を持つ完全な自治体となったのである。州の完全自治体化により、フランスは市町村、県、州の三段階の地方自治制度をもつこととなったが、これは世界的にもあまり例がない。州の存在自体は定着してきたと考えられるが、三層制による行政の繁雑化には依然根強い批判がある。また、広域行政圏としては現在の州の区域は狭すぎるという意見も有力である。
州の主要な権限は、もともと広域の計画行政の主体として生まれたものであるため、創設以来、広域の経済計画、国土開発計画の分野にある。また、最近の地方文化重視の傾向のなかで、文化行政の分野でも重要な役割を果たすようになって
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