3. 社会保障がみんなのためにみんなで支えていく制度として国民の信頼を確保していくためには、負担と給付の両面がより公平であり、政策の目的、対象に照らして有効かつ無駄なく機能するかが確かめられなければならない。介護保険にあっても、いわゆる社会的入院の解消はもとより、将来の国民経済の姿を踏まえて介護にかかわる費用の有効性・効率性がより明確に示される必要がある。
4. 諮問案では、施行までに準備期間を置いているにもかかわらず、在宅給付と施設給付に時間的ずれを置いている。また、在宅サービスの水準と密接な関係にある現金給付を当面行わないとしている。本来、こうした在宅サービスと施設サービスは、一体的に連携して展開されてこそ、利用者によるサービス選択の道を開き、諸施策充実への努力向上につながるものである。保険料基準の設定、財政調整などのための連合組織、要介護認定のための機関、不服申立ての制度など新しく設けられるものについても、その的確な権限、適切な人材が配置されなければ、制度全般の円滑な運営に支障が出る。なお十分に内容を検討し、実効性のある制度にしなければならない。
さらに、介護保険制度そのものの問題のほかに、介護保険は、もともと、医療、年金、社会福祉など諸制度の再編を促すものであり、社会保障制度の全般的な見直しに連結されなければならない。総じて新しいものだけに、現実との差を埋める手順、時間と方法の明示、制度間の本格的調整の道筋の明確化、制度内容の情報の十分な開示が望まれる。また、介護保険の導入に伴い、社会保障諸施策の給付に対応する負担が、今後どの程度になるかを示す必要もある。高い期待が深い失望に変わることのないよう、行政当局の強力な努力を望む。