障の確立を促したのである。長寿社会にあっては、すべての人が期間はともかく、かなりの確率で介護を必要とする状態になる可能性がある一方、そのような状態になった老親をもつことになることから、介護サービスの給付は社会保険になじむとした。今回の諮問案は、こうした方向での第一歩として位置づけ得る。しかし、整合性ある制度とするためには、検討を要する点も少なからず残されている。なかんずく、以下の項目については勧告を行った立場から特に配慮を求めておきたい。
1 介護保障制度は、世代間にわたる連帯によって成立し、維持されることが基本である。高齢者は応分の負担をする、現役世代はそれを積極的に支え、老後の不安を解消する。現役世代もやがて高齢化し、次の世代の人々の協力で健やかな生活ができるようになる。今回の諮問案はこうした制度の理念からみるとなお吟味を要する部分が多い。被保険者の範囲と区分は、年金制度との不均衡を生ずるのをはじめ、保険料のあり方、保険料徴収のルールなどは医療保険、老人保健制度との関連からみて問題を残している。世代間連帯のほか社会保障のあるべき姿を見さだめての仕組みとするよう求めたい。
2 本審議会の勧告では、介護を受ける人、介護をする人の生活を守るため、負担能力に妨げられず必要なサービスを受けることを保障し、かつ、サービスの供給量と質的水準を確保する介護保障の確立を求め、その手段として介護保険を提唱したのである。したがって、介護保険を成立させ、安定させる基盤として、公的資金での給付の人材、施設の量的・質的な整備が欠かせないことは、勧告でも繰り返し述べている。利用者が選択できる道をひらくためにも、サービス供給の充実、対応が必要で、サービスの質を確保しつつ民間部門の活動も導入されなければならない。諮問案で掲げる目標を達成するために、現実との差を埋める施策の展開がより明確にされることが介護保険の導入の大前提となる。とりわけ介護保険の基盤整備の施策並びに計画を、国民に分かるような形で明示すべきである。