だめになる前にやってしまえという駆け込みがあることです。それからもっといけないのは、その条例ができる前にやったものについては、さかのぽっては絶対適用できないのです、そういう考え方ではなくて、やはり先に実態ができている。そうしたら、それを後戻りしないように、つっかえ棒という感覚で条例で固めるということです。ですから、看板の規制は最近のことなのです。十数年前から看板は持っている。それを自主的に撤去したり、あるいは非常にマッチした看板をつくって、ある程度イメージができたところで、少し規制だしたのです。
ここでは、まちづくりの成功体験が学習効果となって、さらにいいまちづくりへと波及していくことが指摘されている。条例による規制の考え方ではなく、実例をつくることで周囲に波及させていく方法を取っている。そして、規制はその流れを確認する補完的なものとして位置づけている。また、まちづくりの考え方として、全国一律の物差しによる評価ではなく、小布施の人々にとっての意味づけないし価値によって、自分たちのまちづくりを進めていくことが述べられている。
(市村)みんな観光について幻想がありますから、注目されて、この町に人が来てほしい。そうするとすべて解決するような幻想を抱いている。しかしそれでは食えない。投資効果が悪過ぎる。それから多分、そういう意識で作ったものは魅力的じゃない。そういう意味で一番大事なのは、そこに住んでいる人間が、その条件を生かしてどういうライフスタイルをつくり得るかということですよね。そういう意味で、新信州人の生き方というものは、参考になるような気がします。
景観づくりの事業は、観光目的ではなく、住民のライフスタイルの表現として行っていることが述べられている。以上から、これからのまちづくりにとって重要な論点をまとめると、次のようである。