々まで介護サービスが提供できる条件をつくるべきであり、それは今我々が当面している重大な問題といえるのではないか。例えば宮城県の七ヶ宿という蔵王のふもとの小さな町は、人口が2,000人で、33%の高齢化率、そして現在ヘルパーさんが2人で要介護高齢者のお宅18世帯に介護サービスを行っている。町の予算が年間30億、民生費が2億4,000万ほどであり、ホームヘルパーの費用を2人以上にはとてもふやせない、そういう町が現実に日本にはある。こういった、自己完結的に介護サービスを組み立てられない過疎地の場合に、やはりある規模の広域圏でホームヘルプ事業を考えるべきではないかと思う。というのは、我々の目から見て、要介護高齢者18人とか、ヘルパーさん2人という規模では事業としては考えようがない。過疎地における介護サービスは広域圏で展開すべきで、人口が5万程度、要介護高齢者が200人ぐらいという単位の中で介護のシステムをつくった方が良いと思われる。
(注)この介護サービスのシステムの計画については、別紙を参照
これによると、人口5万人の圏域で、やはり相当数のヘルパーを巡回型で、家事サービスも含めて80人ぐらいの常勤、非常勤を含めたヘルパーを活用する試案である。厚生省が過疎地における民間事業者の介護の試みのため、新しい事業予算を来年度8億、実行予算としては16億を組んでおり、我々は宮城県とか熊本とか、幾つかの地方でそういう実験を自らやってみたいと考えている。
(8)おわりに
日本の介護サービスは、公が救貧的な制度としてつくり出しただけに、提供の限界を最初から持っていた。そのためどうしても新しい発想が生まれてこなかった。今、公的介護保険の論議が出てきて、地方自治体も目覚め、どのように介護サービスを自分のところで組み立てていこうかと考え出している。そういうところと切蹉琢磨しながら、日本に定着できる、日本型の高齢者介護サービスというものをもう少し勉強しながら立派なものにしていきたいと考えている。