老人ホームの需要はあると考えられる。しかし、広い土地を見つけることが難しく、地価の高い都心部では小規模の老人ホームヘの二ーズが高い。
ウ 痴呆性老人用グループホームの建設(平成9年度から厚生省の補助事業)
要介護老人の中に痴呆性老人が含まれている場合、介護が非常に困難となる。統計上は単に要介護老人として計上されることが多かったが、厚生省の推計によれば、平成5年には10万人、平成12年には20万人(寝たきりを除く)に達すると予測されている。これまでグループホームは良心的な施設経営者が既存施設の一部を使って開設するような例が少数見られたが、補助制度はモデル事業に止まっていた。施設整備も岡山県笠岡市の単独事業など先駆的な例があるが、補助制度はない。平成9年度から厚生省の運営費補助制度が本格的に開始されるが、施設整備は対象とされておらず、結果として痴呆性老人対策が十分でない状況にある。
エ 老人ホームの介護職の増員(厚生省基準外分)
介護職員の問題として東京都のような富裕団体では職員1人に対して要介護者3人と定められているが、兵庫県では職員1人に対して要介護者4.5人とされている。地域によってサービスの差があり、職員の数が少ないところでは重度の介護を要する老人を拒否し、比較的元気な高齢者がホームに入っているという状況が現れてきている。県によっては市町村施設や民間施設の増員分を対象とする補助制度を設けているところもある。
(2)在宅福祉関係
ア ホームヘルパーの増員
ホームヘルパーのなり手がいないという議論がある一方、現実には介護職員を募集したりすると、子育てを終えた主婦等の希望がかなり多い。しかし、市町村に十分な予算がないため希望者に対して十分な職場を提供できないという現状にある。