が担当するキャリア指向の人事が行われている。各種政策の方針は国が決めるが、具体的な計画は市の責任で決められる。官吏はスペシャリストとして執行を担当する一方、政治家がジェネラリストとして全体の判断をする。また行政能力の不安に対しては、自治体連合というものが組織されており、個々の自治体に対してアドバイスをしている。
エ 議会
日本の地方議員は名望家的職であり、政治・政策的機能をあまり果たしていないのが現状である。スウェーデンも1960年代は自治体規模が小さいために政策論議よりも地縁・血縁といったムラ的な要素が強かったが、自治体合併である程度の規模を達成することによって、政党政治が可能となった。現在の地方議員は時給制の兼業議員で、女性も多く、年齢も職業も様々である。地方も議院内閣制であり、政権交代が見られる。また、日本で言われる「地盤・看板・鞄」もいらない公営選挙で、問題意識のある人が政治家になる。また議会以外にも、現代の市民社会では、市民が直接公共サービスの優劣を判断し、その結果を行政に反映させていくことが普通になっているが、その判断材料として、自治体のそのサービスについて(さらに他の自治体の状況についても)市民が情報を得ることのできる制度が必要である。スウェーデンの場合、サービスに対する不服申し立てや裁判が可能であり、市民の各種委員会の委員への就任も政党を通じて可能となる制度がある。
(5) まとめ
福祉行政を充実させていくためには、基礎自治体(市町村)の役割を大きくしていくことが求められるが、スウェーデンの基礎自治体に比較して、日本の市町村は、行政サービスを提供するための仕組みとしての住民参加制度、議会制度、自治体の政策の計画能力、執行能力といった面で未発達であり、権限がないこととあわせて、責任を持って行政サービスを提供していくことができない状態となっている。現在の市町村には、権限委譲とともに、これら各方面の能力のレベルアップと、市町村