(5)Tieboutメカニズムがどの程度機能しているか。それによってどの程度人々の棲み分けが進んでいるか。また混雑効果は発生していないか。
スピルオーバー効果の発生、地方政府の組織費用、住民移動による混雑費用の発生は、分権化によるコストと考えることができる。またこれらを是正する手段として政府間補助金などを考えることも可能である。以上の諸要素を総合的に考慮して、分権化の程度は決定されるべきとなる。
5 公共部門における生産効率性の分析
(1)公的供給財あるいは公共財の分析が困難である理由
・アウトプットを測ることの困難
・どの程度消費における不可分性があるかを特定化することの困難。
・D−アウトプットとC−アウトプットの区別(質的側面を考慮することのさらなる困難)
・介護の頻度、長さ、介護者の数→福祉水準、健康状態
・供給形態が多様(租税−公的生産、租税−民間委託、公共料金−公的生産、政府独占、政府−民間併存)
(2)比較効率性(類似の財・サービスを生産している民間部門における生産効率性をメルクマールとして、公的供給の生産効率性を評価する)
・単位費用(平均費用)の計測
・労働生産性、総要素生産性の計測
・費用関数の推定
参考文献
Wallace E.Oastes,Fiscal Federalism,Harcout Brace Jovanovich,Inc.,1972.
Horst Hanusch,"Determinants of Public Productivity",Public Finance and
Public Enployment,ed.by R.Haveman,Wayne State University Press,Detroit,1982,275-288