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(1)雇用・所得対策を基本とした産業政策

 本町における産業政策は、人的資源である高齢者や若者を中心としながら、1つには町内に立地する既存企業での雇用拡大策と新たな産業開発である。

 既存産業については、産業の高度化、高付加価値化、複合化などを通じて、企業・産業での雇用拡大を図るものである。

 新たな産業・雇用開発は、町内あるいは島内での経済循環と地域の資源・技術・人的資源などのネットワーク化による新たな産業おこしを進めるものである。

 島の経済は、本来、複合型経済、多様な職種を持った経済である。しかし、「造船とみかんの町」として発展してきた本町は、生活財・サービスの多くを他地域に依存した経済構造を形成している。島がもつ複合型経済を見つめ直し、地域で消費される食料、サービスなどについて、極力、町内あるいは島内からの自給を目標とすべきである。

 一方、地元企業の育成や地域内自給を目指した新たな雇用開発に加えて、地域資源を活用しながら域外からの資本の導入を積極的に進めることが、本町においては地域の活性化を図る上で重要である。

 その際、地元と域外資本との対等な立場で事業を進めることが基本であり、外部資本に全てを委ねた開発は、慎むべきである。

 また、産業開発にあたっては、これまでの生産額や雇用規模を指標としてきた地域の産業政策から、高学歴社会における若者の増加が増えている現在、魅力ある就業の場のある産業開発が重要である。

 第1次産業においてもバイオテクノロジーが長足の発展を遂げ、また、技術革新、情報化などの進展が著しい今日、インターネットを通じて国内外から瞬時に注文が来る時代であり、その活用によって離島地域においても新たな経済発展の可能性と魅力的な就業の場の開発が可能である。

 特に、国民の過半が疲弊している精神・肉体の回復のための諸環境や資源を有する離島地域では、そのソフト事業の展開によっては魅力的な地域形成の可能性を秘めている。こうした地域資源・人的資源・文化的資源・地元資本などを活用しつつ、多様な職業選択機会の可能性を模索することが重要である。

 

 

 

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