本調査研究は、瀬戸内海に位置する内海離島である広島県東野町を調査対象地域として、人々が安心して生活が営める居住条件の方策を探ることを目的としている。
内海離島は、外海離島に比べ本土との往来に恵まれているとはいえ、若者の流出や高齢化が着実に進展している。また、土地条件や交通条件などに起因して居住条件や企業誘致が本土に比べ厳しい条件に置かれている。
調査研究対象地域である本町においても現に生活をし、また、今後生まれてくるであろう子孫が“島で生活して・暮らしてよかった、島に生まれてよかった、島に残ろう”と実感でき・決意できる環境の形成を図ることが求められている。
住民が愛着や誇りを持て、自らの生活設計や地域社会活動などに夢を描き、夢を着実に実践するためには、本土の都市部の人々や資本に依存するのではなく、地域が置かれている現実を客観的に受け止めつつ、地域の資源を活用した内発型のまちづくりの展開が必要である。
また、これからの計画においては、わが国の人口が、2011年をピークとして減少に転じるとともに、高齢化が著しく進展していくものと予測されるなかで、従来の人口や経済の規模が拡大することを前提としたこれまでの右肩上りの指標設定に基礎を置いた構想・計画づくりからの脱却が必要となっている。
本調査研究は、上記の視点のもとに、次の点を調査研究の目的とする。