第3章 産業市場の分析
1消費者二一ズの動向
(1)消費者二一ズの一般的動向
ア本物、個性化、差別化志向の定着
戦後の物不足から生活必需品の充足、高度経済成長期の耐久消費財の獲得、あり余る物の時代と使い捨て、貧沢といった流れのなかで、消費者二一ズは多様化・高度化し、近年では「物はなれ」、「本物志向」(本物のなかで自分の気に入った物が欲しい)、「差別化志向」(気に入ったもので他人のもたないものが欲しい)を深めているといわれる。言葉をかえれば「こだわり」、「生活提案・主張」などのコンセプトが求められているといえる。
イ求められる伝統性、懐旧性、風土性
消費者は商品に「伝統性(銘柄ブランド)」、「人格性(個人ブランド)」、「懐旧性(ふるさとブランド)」、「風土性(地域ブランド)」を求めている。
「伝統性」とは時間の磨いた信頼性、「人格性」は特定生産者への信頼性、「懐旧性」はふるさとへの指向性、「風土性」は異なる地域風土が生み出す新鮮さ、新奇さである。また、「製作者(地域)の顔がみえる」「実名性」という事も大事な点となっている。
業界では、近年、「和・エスニック」・「地」・「手」・「生」・「彩」が売れ筋商品といわれ一、てきた。「和」は和風のもの、「地」は地場もの、「手」は手づくりもの、「生」は活きがよい、天然もの、「彩」は彩りがよい、色に味わいのあるもの、を指す。また、「和」の対局として「エスニック」も一つの売れ筋を成し、これらを含めて先の志向に対応する。
また、これらの消費者二一ズの変化は、当然ライフスタイノレの変化のなかで生み出される志向で、「ゆとり」・「潤い」・「楽しさ」・「質の充実」などの追求とあいまって変化する。このなかで、特に、D.I.Y(Do It Yourself)の進展、観光・リゾートライフの充実、国際的な視野での交流の活発化、環境志向をもった文化性豊かな生活に留意した商品開発や提供方式がポイントとなっている(図表24、25参照)。
(2)特産品の対象消費者別対応ポイント
特産品の主たる消費者動向は大きく地域市場、都市市場、観光土産品市場の三つで捉えられ、それぞれの二一ズポイントは図表26のとおりである。