九州では、関東・関西経済圏から遠隔地にあること、多くの離島を有するということなどの地理的特性のために、内航海運は重要であり、従来から鉄鋼、セメント等の基幹産業の比重が高い九州経済にとって、その果たすべき役割は大きくなっています。
しかし、地域内の内航海運業者は、ほとんどが中小零細事業者で、経営基盤が極めて脆弱な状態にあるため、構造改善の推進を図るとともに経営基盤の強化が求められているところであります。
一方、国内の物流分野では、輸送効率化およびモーダルシフトの推進が求められており、内航海運もモーダルシフトを担う重要な輸送モードとして期待されております。
本調査研究報告書は、九州における内航海運業が将来にわたり、より活力のある魅力的な産業に発展を遂げるため、その課題と可能性を探り、その方策を検討し、もって海運産業の振興と活性化策を明らかにしたものであります。この報告書が、関係者の方々にいささかなりともご参考になれば幸いに存じます。
おわりに、本調査研究をとりまとめるにあたって終始ご指導、ご協力をいただきました北九州大学柴田一郎教授をはじめ委員各位、関係官公庁並びに調査にご協力いただいた関係各位に、改めてお礼を申し上げます。
平成9年3月
財団法人九州海運振興センター
会長邑本義一