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 ■テーマ別まとめ
 

(1)釜山港の位置づけ  

 釜山市の就業者の27%が海運・港湾に関係しており、付加価値額では40%にも達している。海運・港湾関連業は重要な産業として捉えられている。
 トランシップ貨物については、神戸港の震災を契機に、中国からの積み替え輸送が急増しており、神戸の積み替え分が釜山港に移ってきている可能性がある。韓国の港湾の人件費は日本の約3分の1であり、今後、ハード整備を進めるなどして、中国の需要獲得を目指す意向である。
 また、国内各地の港湾も整備されつつあり、釜山港としては国内港湾との競合に向けた競争力も高めていく意向を持っている。整備中の光陽港は釜山港のキャパシティ・オーバーに対応するものと考えられるが、役割分担などについては韓国政府が考える問題であるという認識がもたれている。

(2)運営形態(官民の役割分担)  

 施設整備は国家財政から歳出され、財産の所有権も政府にある。シャスンデ、シンサンデの各ターミナルは第三セクター(釜山コンテナターミナル:BCTOC、東釜山コンテナターミナル=PECT)が運営しているが、その収益の一部は港湾整備の再投資に当てられる。PECTの場合、収益の40%が国庫に入り、再投資に回される。
 両ターミナルはすべて公共バースであるが、水深の違い、各船社のターミナル集約化(例えばHanjinはシャスンデ、Hyundaiはシンサンデに集約している)によって役割分担がなされている。
 整備中のガンマンターミナルは、Hyundai,ChoYang,Hanjin,Dongyoungの各船社に初めて専用貸しされる予定である。

(3)港湾別テーマ

 <港費、荷役費の低減>  

 現在の料金体系には、政府が決定した共通のタリフが用いられている。今後は取扱量に応じた割引制度の導入などについて、ターミナル運営会社側に裁量権を与えてほしい旨、PECTなどが国に要請しているところである。

<インランド・デポの整備>
  現在、コンテナヤードが不足しており、約30km離れた楊山にインランド・コンテナ・デポを整備して、散在していたコンテナヤードの集約化を図ろうとしている。インランド・コンテナ・デポは1998年にオープンの予定であり、交通渋滞の緩和や物流コストの削減に寄与するものと期待されている。

 

 

 

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