■テーマ別まとめ
(1)高雄港の位置づけ
高雄港の最終的な目的は、トランシップ貨物(1995年全取扱貨物量の約4割がトランシップ貨物である)を増加させ、その機能を単なる積み替えから再輸出を行う加工区に高めていくことである。台湾にはアジア太平洋オペレーションセンターとして6つの構想があり、うちひとつが国際トランシッフ貨物を取り扱う海運センターであるが、高雄港のコンテナターミナルはその最有力候補となっている。
ハブ港湾としての現状の背後圏は、フィリピン、インドネシア、タイなどの東南アジアである。香港からのトランシップ貨物もあるが、これは中国南部の貨物が中心である(香港で本船に積み卸ししないのは、各船社の航路体系上の要因と考えられる)。
最大のライバル港は、香港、シンガポール、ついで大陸諸港である。大陸では上海が最有力で、深珂11、蛇口などとも競合する。
昨年の神戸港の被災については、釜山港、横浜港、東京港などにはその影響が大きかったが、高雄港にはほとんど影響がなかったことから、中国北部と南部で中継港湾の棲み分けができているようである。
高雄港のセールスポイントは、天然の良港と充実した港湾施設、アジア各地との中継輸送に適したロケーションであるが、さらなる競争力強化のためには、サービスの向上が第一であると考えられている。
(2)運営形態(官民の役割分担)
高雄港では、計画のみを公共(政府)側が作成し、事業実施は民間が行うというBOT(Bui1dOperateTransfer)の考え方を基本とした民営化を進めている。民営化の狙いは、競争促進による能率の向上であるが、公共バースと専用バースの間で荷役作業員の報酬に差があるとの批判も出ている(専用バースの荷役作業員は高雄港務局から派遣されるが報酬等の契約は船社との間で交わされる)。
また、整備中の第5コンテナターミナルでは、岸壁のみを公共で整備し、ヤード(埋立、舗装)と荷役機械の整備は船社に担当させる予定である。船社は岸壁使用料などを免除される代わりに、10〜15年後に所有権を港務局に譲渡するという契約が結ばれる。
(3)港湾別ーマ
<港湾荷役の民営化>
高雄港務局が派遣した荷役作業員によって行われていた専用バースでの港湾荷役等は、民間業者と船社間の契約となるシステムに変更される予定である。今後2年間で港湾荷役のシステムは大きく変えられることになる。なお、台湾では荷役作業員の団体交渉は日本よりも少ない。