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イクであり、乗用車は全体の約5−25%程度である。

従って、市内の交通流はモーターバイクにより錯綜しており、主要交差点でさえ信号機は設置されておらず、警察官の交通整理により処理されている。また自動車の路上駐車も規制されておらず、このため一車線分が通行不能な状態にある。さらに路線バスもバス停以外に頻発に停車しており、これも円滑な交通流を阻害している。これと共に溢れるモーターバイクの多くが、交通の基本的ルールさえ順守していない。

さらに、排水、洪水問題が都市交通に大きな影響を与えている。プノンペン市では、雨期になると堤防道路の内外側が洪水の被害に遭い、多くの道路が冠水してしまい、交通が一部の冠水を免れた道路に集中し、交通の用に為さなくなってしまう。

(3)公共交通状況

公共交通機関はBOTによるマレーシアの民間のバス会社が96年12月から大型バスによるバスサービスを開始した。バス台数は15台で、ルートは5ルートである。公共交通手段のある都市では、通常都市交通の70−80%は公共交通利用者であることを考えると、このバス台数では当然処理できていない。これに代わる手段としてモーターバイクタクシー(モトドップ)のサービスが盛んであるが、交通安全面から婦人や老人が安心して利用できる状況ではない。

このように公共交通の整備は緊急の課題であり、バスシステムの整備が急がれるが、将来的には鉄軌道系も視野に入れた検討が必要になろう。

(4)人材育成

カンボジアの道路交通関係の技術者は、その歴史的背景から極度に不足している。そのため道路交通に関する調査・設計・施工業務は市・国では十分に対応できない状態である。そこで今後自らインフラストラクチャーの整備を進めるためにも、人材育成の問題は非常に重要な課題である。

道路問題に関しては、日本の無償資金協力によってRCC(道路建設センター)が建設され、現地職員の道路の維持・補修における整備の能力が大幅にアップされている。

人材育成トレーニングは今後のカンボジア側への技術移転を考えるとき、都市交通調査結果を有効にフィードバックできる受け皿になる

 

 

 

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