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6. 海岸安全施設

6−1. 海域制御施設
1)難岸堤整備
国土保全として整備されてきた離岸堤を人の利用を想定し整備する場合、離岸堤へのアクセス計画および利便施設の整備を検討すべきである。

 

《解説》
離岸堤は、国土保全を所期目的とする、沖合に設置されている海岸制御構造物である。その所期目的からも明らかなように、離岸堤の設置によって、その背後の海域は静穏化が図られ、比較的安全な海洋性レクリエーション海域が担保される。それ故、身体機能の低下が見られる高齢者や身体障害者にとって、比較的利用しやすい海域が確保されることになる。また、初めて海水浴に来訪する障害者が最も恐れることは、顔に波や水しぶきが直接かかることである。この恐怖感は、健常者に理解できないことかもしれないが、障害者にとっては生命の危険を感じるものであるという。
また、障害者や高齢者の精神的安全担保として、沖の近くに島状の離岸堤が見えることは極めて重要な要素となる。その精神的囲僥空間を構成する離岸堤は、見えない潜堤よりも、むしろ見えることが重要なデザイン的配慮事項である。
今後、離岸堤の設計や配置に配慮しなければならない事項として、離岸堤周辺に発生する沿岸流の制御がある。特に、高齢者や障害者が利用する海岸に設置する離岸堤については、利用者に波高情報とは別に沿岸流の向きや強さについての情報を適切に伝える必要があろう。

 

 

 

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