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8. 海岸施設のバリアフリー整備マニュアル

まえがき

前回と今回の現地調査の結果から、現在のマリーナおよび海水浴場に代表される海洋性レクリエーション施設、またそこまでのアクセスは、高齢者や移動障害者が行動する際、障害や障壁が多く様々な問題を抱えていることが分かった。また、それが高齢者や移動障害者の行動範囲を限定しているだけでなく、彼らの行動意欲をも喪失させている傾向が見受けられる。
今後、我が国が超高齢化社会に向かっていく現状を考えれば、海洋性レクリエーションの代表的施設であるマリーナおよび海水浴場は、バリアフリーを考慮した人にやさしい施設整備を行うことが肝要であると思われる。そこで、高齢者および移動障害者を対象とした海洋性レクリエーション施設のバリアフリー整備を行う上で、重要と思われる項目を整理して、安全で、利便性が高く、快適で潤いのあるマリーナおよび海水浴場の形成に向けて、そのあり方を検討し、一つの試案として指針(ガイドライン)を提案するものである。今回、提案する指針案は、施設計画並びに整備上の基本的事項のみを示すこととし、その詳細については解説に述べるものとする。また、ここに提案したバリアフリー基準値は、これまで地方自治体が策定した条例・指針、あるいはその他の文献等の中における平均的な数値を参考として示すものである。海洋性レクリエーション施設であるマリーナおよび海水浴場は、その施設の開設理由、設立背景、立地性、歴史性等から、同質の施設として扱うことはできない。
我が国のマリーナの多くは、昭和40年代以降に建設されたものが多く、バリアフリーという概念が導入されているものは極めて少ないのが現状である。また、最近の傾向として、放置艇を収容する目的でPBS(平成9年度よりプレジャーボートスポットは発展的に解消しボートパーク事業と呼称することとなった。)などの小規模なヨットハーバーが出現してきている。さらに、国体の開催と併せて、新たに公共マリーナが各地で建設されている。新たに整備された公共マリーナの多くは、時代に対応して、高齢者や移動障害者を考慮した計画が成されつつある。その背景には、運輸省港湾局環境整備課の指導や、公共事業のバリアフリー施設の促進が制度化されていること

 

 

 

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