
2−3. バリアフリーとは
バリアとは障壁のことで、バリアフリーは障害者が生活する上で行動の妨げとなる障壁を取り去った障害者にやさしい生活空間の在り方をいう。具体的には、障害者や高齢者が生活する上で、住宅では段差のない床、手すりのついたトイレや風呂、車椅子でも移動できるように廊下を広くすることが考えられる。公共の場でもバリアフリーを意図したまちづくりが求められているのみならず、本来バリアフリーは物理的に障壁がないばかりか、障害者や高齢者が社会に参加する上で精神的にも「障壁」がないことも意味している。
また、建設省「生活福祉空間づくり大綱」(平成6年)でもバリアフリーの生活空間の形成を謳っており、そこでは高齢者等を含む全ての人々が、安全・円滑に日常生活を送れる生活空間の整備をあげている。
バリアフリーの対象となる人々は、高齢者や障害者ばかりでなく妊婦、幼児、入院患者、退院して社会復帰直後の人々があげられ、現在、これらの対象となる高齢者(1,800万人:1995年度)、障害者(300万人)、妊婦(200万人)、幼児(700万人)、これに入院患者数を加えるとおよそ3,000万人を越えることが予想され、実に我が国総人口の1/4がバリアフリーの対象人口となる。また、厚生省の推計をもとに21世紀中頃のバリアフリーの対象者数は、およそ4,500万人になることが予想される。
また、バリアフリーと同様な語彙に「ノーマライゼーション」という言葉がある。ノーマライゼーションとは、障害者を特別視せず、健常者と同じように受け入れ、必要な処置をして行くことがノーマルであるという考え方である。もともとデンマークやスウェーデンで精神障害者への対応から始まった考え方であるが、現在では社会福祉一般の基本的な理念として国際的にも定着している。それを実現するためのハード面の整備すなわちデザインの配慮がバリアフリーデザインである。最近では、「ユニバーサルデザイン」という言葉が話題となっている。ユニバーサルデザインとは、普遍的・一般的といった意味を持ち、あらゆる環境においてどんな人々に対してもうまく適合するデザインを意味する。この概念は、特別なニーズを持つ人のために特別な設計を行うという考えとは対局にある。これまでの特別なニーズという考え方に基づくアプローチでは、結局、障害者や高齢者
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