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(2)共同作業に対する認識

 グループウェアとは共同作業を支援するものであるが、ここで留意すべきことは、グループウェアを導入することによって共同作業が支援されるわけではなく、職員一人一人が共同で作業をするという認識を持たなければならないことである。実際に情報を共有化するためには、職員各自が保有する情報を、他の職員に対して公開しなければならない。しかし、業務に精通した職員ほど、自らが持つ知識やノウハウを公開したがらない傾向も見受けられる。そのため、その職員が持つ膨大な知識やノウハウが属人的なものとなり、組織としての業務に役立たない場合が多い。
 また、組織としての事務を効率よく行うためには、煩雑な事務の流れを自動化することが有効となる。しかし、実際に自動化するためには、事務改善を行うことによって非定型事務を定型化する必要があり、その上、根回しなどを行う慣習を改めなければならないのである。このように、共同作業を円滑に行うためには、職員各自が共同作業に対する認識を持つ必要があり、また、事務改善を積極的に行っていくための努力が重要となる。

(3)運用者の努力

 グループウェアは多くの職員が利用するシステムである。組織の規模によっては、数千台といったパソコンをネットワークで結ぶことになるため、その運用や維持・管理には相当な労力を必要とする。その上、利用者に対する啓蒙普及あるいは教育研修などを行い、さらに、利用者が使いやすい環境や仕組みを構築していく必要もあるため、運用者に対してかなりの負荷がかかることが予想される。従って、運用部門だけでなく、利用部門も含めた運用体制や運用方法を検討していく必要がある。

 グループウェアを有効に活用していくためには、前述以外にもまだまだ解決すべき課題が存在する。しかし、真に有効活用を考えるのであれば、それらの課題を乗り越えるパワーが必要となる。

 

 

 

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