2.3.5 主機駆動発電機
主機駆動発電機とは、専用の原動機を装備せず主機(推進用原動機)によって駆動される発電機である。主機駆動発電機を実際に船に装備する場合には、設計上の問題、艤装上の問題など具体的な検討を必要とする項目が多く、またシステムの構成・配置・特性など種々異なったものが考えられるが、それらの中で比較的多く採用されているシステムの概要と特徴を以下に述べる。
-1.定周波装置を装備しない主機駆動発電機
これは、図2.13に示すように主軸から増速ギヤやチェーン等を介して発電機を駆動し、出力をそのまま船内電源として使用するシステムである。この方式は各種の主機駆動発電機システムの中でも最も簡単で、設備費も安く、採用しやすいシステムである。
しかし、この方式は、主軸の回転数が変動すれば、それに応じて発電機の出力周波数も変動するという欠点がある。すなわち、固定ピッチプロペラ(FPP)を装備した船では、荒天航海や出入港、減速運転などの場合には、発電機の出力周波数が変動もしくは低下して、船内電源としての質を維持できなくなる。
したがって、この方式は、平穏な海域を常用出力で安定航海している場合に使用されるのが原則で、荒天航海、出入港、減速運転などの場合には、船内の他の発電機を使用しなければならない。
可変ピッチプロペラ(CPP)を装備した船の場合には、上述の欠点も改善されるが、平穏な海域の航行中で主機駆動発電機の出力周波数の変動が許容値以内に収まっていても、他のディーゼル発電機等との安定した負荷分担は得難いので、連続並行運転はCPPの場合でも行わないのが普通である。