日本財団 図書館


 

まえがき

本調査研究は、運輸省航空局の要請に基づき、1991年(平成3年)からICAO(国際民間航空機関)の航空移動通信パネル(AMCP)において検討が行われてきたVHFデジタル・リンク(VDL)に関する情報収集と技術要素の基礎研究を目的として、平成5年度から(財)日本財団の補助を受けて、活動を開始したものである。その実施にあたっては、学識経験者や航空専門家を主要メンバーとする「VDLデジタル・リンク研究委員会」を設置し、ICAOの発行規格である標準及び勧告方式(SARPs)に準拠した通信装置内の論理回路及び機上局を中心とした通信プロトコルの試作開発を通して、VDLサブネットワークを規定するSARPs仕様の評価を行ってきた。
各年度の研究は、OSI参照モデルの機能階層を積み重ねて行く形式で行われおり、本研究成果の一部がAMCPに提供されたことによりSARPsの作成作業に貢献できたことを顧みると、この4年間の研究活動がICAOの検討作業とほぼ歩調を合わせるように行われことが意義深く、極めて時宜を得た研究であったと評価できる。
VDLは、現用VHFデータリンク・システムの次世代システムとしてICAOのCNS/ATM構想の一翼を担いうる空地データリンク・システムであり、将来の航空通信の中心的システムとして位置付けられる可能性を有している。今後は、この研究活動で得られた試作内容および評価結果を礎にして、さらに実用化を目指した検討を継続することが、空地データリンクを利用した航空管制システムとそのネットワークを構築するために必要と考えられる。
平成9年3月
財団法人航空振興財団
VHFデジタル・リンク研究委員会
委員長浅野正一郎

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION