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はじめに
へき地における医療確保の問題は、我が国にとって長年の問題である。近年、1都道府県圏1医科大学構想が実現されたことにより、医師数の量的増加はおきている。例えば、人口100,000人当りの医師数は1970年には113であったが、1992年には175になっている。しかしながらその多くは大都市周辺地域にとどまり、山間、離島、農村部などのへき地における医師確保の問題はいまだ解決しているとはいえない。このような状況の中、1972年に設立された自治医科大学は、医療に恵まれない地域に勤務する医師を養成する目的で作られた独特の医科大学である。
一方、いわゆるへき地といわれる地域では、医療サービスの多くを公立診療所が担っている。市町村は、国保連合会や都道府県を通じて医師確保に努力しているが、へき地に医師を招聘することに多くの努力がさかれており、医師が長期間にわたって勤務できる環境作りはあまり注目されていなかった。(このことにより、わずかな期間しか勤務せずに出て行くケースも多かった。)
本研究は、へき地の公立診療所に勤務する自治医科大学卒業医師を対象に、アンケート調査形式にて診療所および医師住宅の評価を行ったものである。研究開始時の設問は以下のとおりである。

 

1 勤務環境として診療所を評価するときに重視されるものは何か。
2 重視される診療所評価項目と実際の満足度との関係。
3 居住環境として診療所住宅を評価するときに重視されるものは何か。
4 重視される診療所住宅評価項目と実際の満足度との関係。

 

また、本研究ではあわせて勤務医師や家族の年齢などのプロファイルについても調査を行い、評価項目とあわせて分析を行った。

 

研究デザインと方法
研究デザインは郵送聞き取り調査による横断的研究である。自治医科大

 

 

 

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