?T. はじめに
現在、数多くの薬物治療が行われているが、その治療法が適正であるか否か明かでないことがある。特に日常よく遭遇する疾患に対する治療は、慣例によって正しいと考えられていることが多い。そのために新たな薬害を生み出す場合も出ている。1995年7月15日日本薬剤疫学研究会が発足したが、薬剤疫学を「人の集団における薬物使用とその効果や影響を研究する学問」と定義している。地域保健医療の向上発展のためには、薬剤疫学をより広い臨床の現場で研究することが重要である。本研究はこれらの点から「地域医療の現場で日常よく使用される薬剤の有効性と副作用を疫学調査する」ことを目的にした。現在までに2つのprojectが行われた。いずれも、日常よく使用する薬剤に対する疑問を自治医科大学卒業生を対象に広くアンケート調査した。本書をもって、現在まで判明したことを報告する。
?U. 研究方法
対象:自治医科大学卒業の外科系医師351名(自治医科大学卒後対策委員会に外科系として登録のある者:平成8年2月現在)を対象にした。
方法:外科手術後の高血圧管理(別紙1)及び小外傷術後における経口抗菌薬(別紙2)に関するアンケートを郵送し、アンケートを依頼した。アンケートの回収はFAXで事務当局に返送していただいた。
?V. 外科手術における降圧療法の問題点に関するアンケート調査
A. 背景
最近、降圧療法におけるカルシウム拮抗薬の使用が心筋梗塞を助長している可能性を指摘する報告がなされた1)2)3)。特にshort acting型の同剤の内服が問題とされ、急激な血圧降下がその原因と考えられている4)5)。一方、
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