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はじめに:
接触系凝固因子の1つである活性型高分子キニノーゲン(HKa)が血漿中に存在する最も強力な細胞接着抑制因子、抗血栓因子であることを我々は見い出した(図1)(1)。我々は、当教室で研鐘を積んだ全国の地域医療に従事している自治医科大学卒業生と協力し、地域での健康診断スクリーニング等により、HKaを中心とする接触系凝固因子群の地域特異性や遺伝的負荷と血栓傾向の評価を行い、血栓症の予防に貢献することを最終目的と定めた。そのために、まず、HKa測定系を完成させることから、始めることにした。正確な定量性を具現化するため、モノクロナール抗体の作製より検討を開始した。さらにサンドイッチELISAによる10−100μg/mlの感度まで検量できる測定系を完成した。これらを記述する前に、接触系凝固因子を測定する意義及び我々が、発見した新しいHKaの機能について、順を追って記載する。
(1)HMWKの機能と構造について
ここでHMWKについて簡単に触れたい。prekallikrein、Kallikrein、HMWKは第?]?T?T因子、および第?]?T因子と共に接着系因子と呼ばれている。HKを除く、他の因子はserine proteaseであり、kallikreinは一本鎖HMWKに作用し、血圧降下作用、平滑筋収縮作用、発痛作用を持つ生理活性ペプチドであるkininを遊離させ、HKaに変化させる。kallikreinはさらに第?]?T?T因子に作用し、第?]?T?Ta(活性型)へと変換させる作用(positive feed back)の他、plasminogen、第?X?T?T因子、補体成分C3をも活性化する作用を有している。HKaは第?]?Taにより、L鎖が切断され、凝固因子活性のないHKiへと変換される。HKは(図2A)に示したように分子量14万の一本鎖polypeptideであり、HKaは110KDaと95KDaの2つの

 

 

 

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