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1 研究目的
Helicobacter pylori(以下本文ではHpylori、図表ではHPと略)に関する研究は、近年多大な進展がみられている。しかし、本菌感染症における疑問点・未解決な部分は依然としていくつかみられ、そのひとつとして感染の成立・定着があげられよう。これには、菌株の種の他、環境要因、宿主側の感染感受性・疾患感受性が重要と考えられる。
今回は、本菌感染に対する環境要因の一端を調査するため、生活習慣の異なるであろう漁村地域の鳥取県岩美地方と農村地域の同県智頭地方の感染率を対比した。さらに、前記対象から試料を得、感染の成立機序に関わる宿主要因(Host factor)の候補であるABO式およびLewis式血液型物質とH.pylori感染の関係を疫学的・免疫組織化学的・分子生物学的に検討した。

 

2 対象と方法
腹部愁訴あるいは無症状精査のため胃内視鏡検査および同日採血を施行した者で、次の3条件を併せて満たした場合を対象とした:?@過去にH.pyloriの除菌治療を受けていないこと、?A検査前6ヵ月以内に消炎鎮痛剤・抗生剤の服

 

 

 

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