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【はじめに】
Rhシステム血液型は、輸血に用いる適合血の判定指標としてのみならず、個人識別などの重要な遺伝マーカーとして広く利用されている。最近、この血液型は先天性および後天性溶血性貧血の誘導分子として注目を集めている1−3)。Rhシステムを枯構成るRhD、RhC/c、RhE/e抗原を先天性に全て欠くRhnullにおける慢性溶血はその一つである3)。一方、後天性溶血性貧血の一つである自己免疫性溶血性貧血(AIHA)において、Rh抗原は自己抗原としてその病因に深く関与していることも明らかにされた2)。
このRhシステムは、人体の中で最も複雑な多型であり、その関連抗原は45種類にのぼり、さらに多くの変異型も報告されているが、その分子遺伝学的背景は不明のまま今日に至っている1)。また、各Rh抗原の赤血球膜への発現機構、あるいはRh抗原分子に備わった機能など、未知のままである。Rhシステムに係わる先天性、後天性溶血性貧血の病因並びに病態解析を進める上に、これらの情報は必須である。最近の分子生物学的アプローチにより、RH遺伝子の解析も飛躍的に進展した4)。そこで、こららの成績を踏まえ、RhD(+)と、RhD(−)の遺伝子比較、Rhnull、−D−などのRh変異型の遺伝子解析をおこない、Rhシス

 

 

 

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