日本財団 図書館


 

大病院における総合診療の位置付けを確立する端緒にもなろう。
(5)その他
今後設置しようとする都道府県にあっては、平成8年度を初年度とする第8次へき地保健医療計画で導入された「へき地医療支援病院」制度を併せて活用することは有効な方策の一つであると考える。

 

おわりに

 

わが国は、少子化、高齢化社会の到来、疾病構造の多様化する中で、国民の健康に関する意識及び医学、医療に対する関心が高まり、医師の情報提供、インフォームド・コンセント、クオリティオブライフ等が重視されつつある。一方、医師過剰が指摘されているが、へき地等の医師の確保は依然として大きな課題となっている。とりわけ各市町村においては、ゴールドプラン、新ゴールドプラン、医療法、老人保健法及び地域保健法等により、高齢社会に対応する介護基盤の整備が進められつつあり、保健・医療・福祉の連携が求められている。
このような中で、一部の都道府県では、へき地等の医療の安定的確保と質的向上を図るため、県立病院等に地域医療部・総合診療部等を設置し、へき地等の医療を総合的に支援するシステムを構築してきている。これらの動きは、これまでへき地等の医療対策が、医師確保を中心として進められてきたことに対して、医師としてのライフサイクルにも配慮し、システムとしてへき地等の医療に従事するマンパワーを量的、安定的に確保するとともに、質的確保、向上を目指そうとすものであり、いわゆるへき地医療のシステム化の先進的事例といえる。現在は、前述したとおり未だ地域医療部・総合診療部等の機能は試行錯誤の段階にあり、また、各医師の献身的な働きで地域医療部・総合診療部等がやっと維持されているところもあるが、全体としては組織や運営も改善されつつある。今後、本格的な活躍期に入り、地域医療の改善に貢献する時期がきているものと思われる。

 

文献

 

1 自治医科大学卒後指導委員会:へき地医療のシステム化に関する事例集、1993
2 厚生省健康政策局医事課:医師需給の見直し等に関する検討委員会意見について、1996
3 財団法人厚生統計協会:日本の患者と医療施設、1995
4 厚生省健康政策局:へき地保健医療計画の策定について、1996

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION