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【はじめに】
装置が比較的安価であり、検査情報量の多い超音波検査は、多くのへき地診療所での診断に力を発揮している。しかし、まれな疾患、また頻度の高い疾患でも診断の容易でない超音波像もあり、経験の浅い場合には一人で診断することが難しい。
すでに、マルチメデイア特に大規模で研究的な大病院間でのネットワークについてはこれまで報告され、一部では試験的に使用されはじめているが、いまだ実験的な範疇をでていない。一方、既にインターネットなど電話回線を使用しての各施設・機関を結ぶネットワークが提称され、通信のみでなくデータ収集などにも広く一般的に用いられている。前者は経済的にも人的にも大規模な設備が必要な点から、診療所などの小施設での使用は困難であり、へき地の施設では後者を用いた手法が適当と考えられる。
本研究で検討を行うのは、へき地での行われる超音波検査について、その画像の診療支援を目的に、現在保有するまたは容易に保有できる範囲の設備で、比較的早期に行うことのできるシステムを前提としている。実際の検討は、近年多くの施設で行なわれつつあるパーソナルコンピューター(パソコン)を用いたインターネット、電子メール(e−mail)を使用するものである。撮影された超音波画像をデジタル信号に変換し、電話回線を用いて専門家のいる施設に転送し、アドバイスを受けることで、診断支援を迅速でかつ正確に行うことが期待できる。このシステムが実用的なものとなれば、パソコンと電話回線および両者をつなぐモデムがあれば、場所を問わずに超音波画像をやり取りでき、どのようなへき地においても支援をうけることが可能となる。

 

 

 

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