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られる効果はどうか、等について比較衡量のうえ慎重に対応する必要があろう。
結論として、ムース化油の焼却処理技術の実海域への適用は、この法律上は特段の規制はないといえる。

 

3.3.2 その他の法令による規制
(1)大気汚染防止法の規制について
大気汚染防止法では、規制対象は工場及び事業場における事業活動に伴い発生する煤煙の排出及び自動車等の排気ガスであり、規制対象物質ごとに排出量又は濃度による規制基準が設けられている。
焼却処理において、環境上懸念されるのは、燃焼に伴い発生する煤煙である。油を燃焼させた時に大気中に放出される生成物としては、煤、燃焼ガス(二酸化炭素、一酸化炭素、硫黄酸化物等)がある。
この中で一番目につきやすいのが煤であるが、油を燃焼させたときに発生する煤は、一般に、燃焼させた油の当初の量のわずか数%に過ぎないといわれている。しかも、煤対策としては、ヨーロッパにおいて航空燃料から家庭用暖房燃料にまで使用されている有機金属化合物である煤抑制剤を燃焼時に散布することによって、煤の発生を大きく減少させることが可能であり、本調査研究においても実験で確認している。煤抑制剤の燃焼生成物の毒性については、外国での動物実験結果によれば低毒性であることが報告されている1)。
燃焼ガスに関しては、ムース化油の焼却処理実験において使用した試料油及び処理薬剤を試験対象とし、その成分から燃焼時において発生が予想されるガス成分の一酸化炭素、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物について、燃焼ガスを採取して分析を行った。その結果、付録の実験記録に示すように、薬剤を散布したことによって、上記燃焼ガス成分濃度に大差はなく、試料油単独で燃焼させた場合とほとんど変化は認められなかった。
一方、外国で行なわれた海上燃焼試験において、特に毒性の高いダイオキシン、ジベンゾフランの分析を試みているが、これらの物質も検出されなかった2)。

 

 

 

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