
3.3 焼却処理の導入に伴う法制上の問題点
3.3.1 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の規制
(1)洋上での焼却処理について
?排出油防除のための薬剤の使用が、その使用目的から正当業務行為として油・有害液体物質等の排出の規制がかからないのと同様、排出油の防除のための焼却も、法律上の焼却に該当するが、正当業務行為として焼却規制はかからないものと解される。
(法の焼却規制は、「船舶又は海洋施設における焼却」を規制するものであり、その基準も焼却設備による焼却を求める等、洋上の排出油の焼却を想定していない。一方、法第42条では防除措置の一手法として排出油の焼却が明記されている。)
?しかしながら、法の目的からは、排出油の焼却処分が無制限に認められるべきではなく、例えば政令第13条第3項に掲げるような状況(輸送活動、漁ろう活動、レクリエーション活動その他の海洋における活動に係る環境の保全への支障等)との比較衡量が必要となろう。
法第42条の措置を行うに際しても、その措置によって生ずることのある損害の程度等を考慮して措置内容を判断する必要がある。
(2)散布薬剤の問題について
?法第43条の4により、現在使用規制の対象としているのは油処理剤及び油ゲル化剤であるが、この規制の考え方は、緊急異例に使用される薬剤を排除しない趣旨が背景にあり、排出油防除の薬剤として確立してきた段階で規制対象とするものである。
(なお、型式承認を受けていることは、基準に適合していることを証明するものではあるが、使用の条件ではない。)
?散布薬剤に、現行基準に適合しない油処理剤と同種のものが含まれていたとしても、その使用目的・用法からいって、規制の対象となっている「油処理剤」に該当するものではないと解することができる。
?しかしながら、これも、直ちに使用規制がかからない同条の趣旨からいって、海洋環境への影響は最小限に止めるべきであって、現在規制している趣旨と同程度の安全性があるのか、代替手段はないのか、その使用によって得
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