
2.3 焼却処理の適用限界
2.3.1 大気環境への影響
[拡散影響評価手法]
液面燃焼は2次元的燃焼であるが、一般的に一つのプルームを形成する。燃焼生成物はこのプルームとともに移流拡散する。火炎が大きくなると横風よりも浮力による上昇流れが強く、かなりの高さまで上昇してから一般流に流される。火炎から十分離れると乱流拡散によって周囲空気との混合が進み濃度は低下し、温度は周囲大気とほぼ等しくなり、熱的な影響は無くなる。
現在、陸上の大気汚染物質のプルーム型拡散について、ガウス型拡散の式を基本とした推定法が世界的に採用されており、多くの検証実験が行われ、観測データを蓄積して信頼性の向上が図られている1)。
基本的には海上でもこの方法が適応できると考えられるが、陸地に比べて水の比熱が大きく、表面粗度も小さい等の異なる条件があり、これらはかなり大きな影響を及ぼすことが知られている2)。
[拡散基本式]
陸上の拡散式として用いられているガウス型プルームモデルは次のような前提で導かれたものである。
基本仮定として、拡散の単純な質量保存則に対する解で、一般流の風速は零ではないとし、また移流拡散方向の渦拡散係数は一定としている。定常状態を仮定しており、理想気体の状態方程式が成立する。また汚染排出速度は一定とし、水平方向の風速は時間平均速度で代表される。鉛直方向のシェアは無く、またプルームの履歴は考えない。
汚染物質は安定分子の気体か微粒子であり、顕著な沈降はなく、大気の乱れに追随するとし、化学変化や沈着はないものとする。
ブルーム内の汚染物質は水平、鉛直方向にガウス分布をしており、経験的な拡散パラメータで表されるとする。
通常、風向は16方位で測定されており、平均的にはこの1つの方位内での風向は一様に分布していると考えると鉛直方向の拡散パラメータσzのみに依存した式(3.1)が得られる3)。
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