
2.2 焼却処理における安全性
焼却処理を安全かつ環境への影響に配慮しつつ遂行するためには、燃焼規模、ここでは焼却面積を適切に制御する必要がある。
焼却の安全と環境への影響を評価するためには、熱による温度上昇や生成物の移流拡散濃度を推定しなければならない。
液面燃焼(pool buming)によってできる火炎は、化学反応、流れ、熱放射が密接に関連し、多量の黒煙発生等を含む大規模で著しく複雑な現象であり1,2)、現在のところ数値シミュレーション3)を用いて焼却面積を評価することは困難と考えられる。
液面燃焼に属するタンク火災については実験例も豊富であるが1)、いま対象としているムース化した流出油の燃焼に関する研究はほとんどなく、実験データから判定することは難しい。
そのため制限条件を焼却面積の代表長さ(火源寸法)(d)及び受熱体と火炎中心までの距離(X)を含む基本的な関係式で表しておき、安全距離を推定することとした。
本節2.2では熱の影響について、また環境への影響については2.3で述べる。
2.2.1 焼却処理面積の制限条件
受熱体は、火炎と周囲の高温ガスから熱放射を受けるとともに、風向によっては高温ガスに曝される。伝熱を熱放射(熱輻射)と対流熱伝達とに分けて扱えるとすれば、受熱体への伝熱強度がその許容閾値を超えない条件は次式で与えられる。

2.2.2 許容閾値
人体を含む物質固有の許容閾値が図2.2.1に示されている。現在一般に用いられている人体への危険閾値は2,392(Wm−2)(2,050kcalm −2h −1)であり、
前ページ 目次へ 次ページ
|

|