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2.1.4 焼却処理技術の汎用性
焼却処理技術の汎用性を調査するために、本調査研究の初年度である平成6年度においては、調査対象油種を軽質原油であるマーバン原油のムース化油とし、焼却処理の可能性の検討及び基礎的技術の開発を進め、燃えないといわれたムース化油を90%(最終油層厚約2mm)以上の高焼却率で焼却処理することに成功した。
平成7年度においては、焼却処理技術を実用化に結びつけるため、対象油種を中質原油のアラビアン・ミディアム原油、重質原油のカフジ原油、クウェート原油とA重油、C重油として、含水率を変えたムース化油の焼却処理実験を行うとともに、油層厚と焼却率の関係等について調査した。
そして、平成8年度においては、重質原油であるクウェート原油および重油を対象に焼却処理技術の確立を図り、全ての油種のムース化油について、本焼却処理技術が適用可能であることを確認した。
油種ごとのムース化油の性質と処理技術の適用をまとめると次のようになる。
(1)軽質原油(マーバン原油)
60%の含水率で安定したムース化油となり、乳化破壊剤と自己撹拌型油処理剤を用いた処理薬剤でも良好な油水分離効果を示した。
処理薬剤の散布量が5%程度と他の油種に比べて少ない量で良好な燃焼状態が得られた。
(2)中質原油(アラビアン・ミディアム原油)、重質原油(カフジ原油、クウェート原油)
60%の含水率で安定したムース化油となり高粘度化する。
上記含水率の場合、処理薬剤の散布量は10〜15%であり、粘度に比例して散布量を増減させるが散布量の増加に伴い生じる乳化分散量を抑えるため、処理薬剤として乳化破壊剤と混合する溶剤は乳化作用の少ないものを使用することが必要である。
(3)A重油
60%の含水率で人為的に撹拌させても、チョコレート色への変色は認められるが、粘度の上昇はほとんどなく安定したムース化油にはならないことが分かった。これは、ムースの生成に影響する油中のアスファルテンやパラフィン

 

 

 

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