
2. 焼却処理法の適用と限界
2.1 焼却処理技術の展開
2.1.1 ムース化油の生成と特性
均一には溶解しない2つの液体の一方が微粒子(分散相)となって、他方の液体(分散媒)の中に分散している状態をエマルジョンという。
油が分散相の場合は水中油滴型(oil in watertype)又はO/W型エマルジョン、反対の場合を油中水滴型(water in oil type)又はW/0エマルジョンという。
(1)エマルジョンの生成
海上に流出した原油あるいは燃料油は、水粒子を取り込んで簡単に油中水滴型のエマルジョンを生成する。これには波等による撹拌が必要であり、静かな海面ではほとんどエマルジョンにならない。油中水滴型エマルジョンとなった場合、含水率は最大80%(容量)に達することもある。
海上での油中水滴型エマルジョンは、粘度が高い油では数時間以内に生成されるが、粘度が低い油では通常数日かかる。安定した油中水滴型エマルジョンの最も顕著な特徴は、赤茶色又は橙色を呈していることである。色が一貫しているため、しばしば「チョコレート・ムース」と呼ばれている。
(2)エマルジョンの安定化
多くの場合、分散相、分散媒となるべき2つの液体をそのままかき混ぜ又はすり混ぜると、一方の液体が細分化されてエマルジョンが生成されるが、不安定であり放置すればすぐに液滴は集合して元の2つの液体に分離してしまう。
一般に、エマルジョンの安定化は、次のような条件に支配されている1)。
?微粒子の大きさ及び濃度
?両成分の比重差
?連続相の粘度
?微粒子の荷電
?乳化剤の種類及び濃度
?液のPH
?安定剤
?貯蔵条件、温度、撹絆、振動、蒸発
エマルジョン中の微粒子が小さいほど、また濃度が薄いほど安定度が大きく、
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