(3)年令相応の健康とは
WHOでは、健康とは単に病気や虚弱でないということだけでなく、心理的、社会的にも適応できる状態であることと明快に述べている。
健康維持には、自助的な部分と他助的な部分がある。前者は健康を維持しようとする自分の意志とその実行であり、後者は健康診断・事後指導をしてくれる医療機関・社会環境等である。中でも、定期的健康診断の積み重ねの連続データは各個人の現在・将来の健康保持の道を教えてくれる。また、遠隔地における治療・健康相談に有効な資料になる。
職業や生活の違いとは関係なく、人は、現在の心と体の健康の確認のため、ぜひ健康診断は受けるべきである。
その理由は、成人病の特徴が健康診断受検の必要な理由を教えてくれるからである。
成人病の三つの特徴とは、
?静かに体に入り込む、
?一つだけでなく、二つ三つの病気が一緒に入り込む、
?放置すれば、確実に進行し悪化する。
年相応の健康は、”腹八分目、頭と身体の適当な運動により保たれる”といわれるが、高齢化社会をより健やかに生きるためにも大切なことである。
(4)医学的に見た高年齢者の身体的特微
人の一生の生態機能の変化は図7に示すとおり代謝は若年ほど活発で、生殖や運動機能は20歳代にピークになり、精神活動は経験が増すほど高い。そのライフステージは表8のとおりである。高齢者は充実した活動期から円熟期に入る転換期を経たことであり、その中での仕事と生活
図7 生体機能の維持
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