2−2 作業環境調査の実施(平成7年度事業)
2−2−1船員災害に関する現地調査
(1)調査方法と対象
北海道1地区、東北1地区、関東1地区、北陸1地区、東海1地区の5地区において、船員災害防止協会及び海上労働科学研究所の調査担当者が訪船するか、船員に集合してもらい、船員の作業と作業環境等について面談調査を行った。調査対象は上記の各地に入港又は居住する船員24名である。
また、沖合底曳き網漁船、まき網漁船、かつお一本釣り漁船及び内航貨物船での乗船調査による作業観察を行い、災害発生要因分析の補足資料をえた。
(2)各地の状況
a.小名浜
小型トロールを対象に聞き取り調査を実施した。この業種は、午後に出漁して、午前中に操業を終了し、魚市場に水揚げする。魚市場が日曜休日となり、土曜日は出漁せず、また、荒天の休業その他を含め年間半分近くが休業である。隻数は最多時期の三分の一でありほとんどが一船主漁ろう長であり、後継者問題を抱えている。災害に関する経験や意見は以下のとおりである。
救命衣着用普及を呼びかけているが、作業のしにくさのためにあまり普及していない。ベストは合羽と分かれており不具合がある。また、網を体で抱いて作業をするのでチャックが引っかかるおそれがある。最近開発された浮体が軽いものはよいが、検定品でない難点がある。寒冷地では長時間の保温性が必要であろうが、当地では救助までの数分間保温できればよい。沈没した例でも10分間後には救助できた。その時は9月の早朝で水温は十数度であり、着用していたのは下着だけであった。最近は、沈没した場合に船材に木材がないので浮くものがない。
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