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まえがき

 

近年、船員の高齢化が進み50歳以上のいわゆる高年齢船員の占める割合は、昭和61年度には全体の20.4%(運輸省連輸政策局情報管理部「船員統計」による)であったものが平成7年度には29.3%と増加しており、更にその傾向は強まるものと思われる。
また、高年齢船員の被災する割合も年々増加し、平成6年度には全死傷災害の41.0%(前年度は38.9%)を占めるに至っており、高年齢船員の特性を踏まえた総合的な死傷災害防止対策の確立が重要な課題となっている。
運輸省が策定した第6次船員災害防止基本計画(平成5年度より5ヶ年計画)においても、高年齢船員の死傷災害防止対策推進が重点対策の一つとして掲げられ船員災害防止協会においても、この趣旨に添い平成6年度から平成8年度までの3年間に亘り、「高年齢船員の死傷災害防止対策事業」を実施してきた。
まず、平成6年度(初年度事業)においては、船員の筋力、反射機能、柔軟性、平衡機能、視覚機能等についての調査を実施し、高齢化による心身機能の変化を把握することに努めた。
次いで、平成7年度事業としては、船内の作業環境(照明、気温、騒音)作業方法等が高齢化による心身機能の変化に配慮したものになっているか等について、実態調査を行った。
更に、平成8年度は、これらの調査を踏まえ、具体的な災害防止対策を策定するため、委員会及び専門部会において検討を行い、本報告書を作成した。
この調査に当たり、こころよく調査員に乗船の機会を与えて頂いた、稚内機船漁業協同組合、八戸船舶株式会社、波崎漁民組合、また体力調査にご協力頂いた小樽機船漁業協同組合、八戸漁業協同組合連合会、南郷漁業協同組合、航海訓練所練習船、海上保安庁巡視船の関係者、そして測定のための会場並びにその機会を提供して頂いた船員保険健康管理センターの諸氏、ご後援頂いた運輸省、水産庁及ぴ社会保険庁の関係者に対し衷心より感謝の意を表する次第である。

 

 

 

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