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同州では、市町村レヴェルには、合計54の支部組織が存在する。これは、ケルン、デュッセルドルフ、ボンといった比較的大規模で郡に属さない都市(kreisfreie Stadte)、ないし郡毎に組織されている。この支部組織までが、ドイツ同権福祉会固有の組織で、これらの支部組織それぞれに成立経緯が様々に異なる個別組織が登録されている。支部組織までのドイツ同権福祉会各組織は、それぞれ登記社団であり、個別組織は、登記社団である場合も、非登記社団等である場合もある。ボン支部の場合、合計102の個別組織が登録されており、このうち登記社団95となっている23)。このように、支部組織に個別組織が登録所属する方式を採用している点が、ドイツ同権福祉会の特徴である。
これら個別組織を示しているのが、図2におけるa、b、c、d…である。これらの個別組織のうち、支部組織より小規模な中間レヴェルの組織を独自に構築している場合が2件有り、この中間組織は、ボン支部に所属することなく、直接州本部の所属となっている。なお、ノルトライン・ヴェストファーレン州全体で各支部組織に登録されている個別組織の合計は、1993年中葉で2504であり、この時点でなお約400の団体が加入申請している24)。このように、ドイツ同権福祉会は、連邦レヴェルの全国協議会、16の州本部、多数の支部組織、そしてそれに登録された個別組織という4層構造になっている。なお、1994年時点で、ドイツ同権福祉会の支部組織は全国で280程度あり、また所属個別組織の全国総数は8000を超えている25)。
このドイツ同権福祉会の全国組織構造に対応して、行政の側から関与するのは、4レヴェル考えられる。まず、ヨーロッパ連合(EU)だが、現時点で具体的な共通社会政策は成立しておらず、経済統合や通貨統合のような社会福祉統合が実現しない限り、EUからの実質的関与は生じないだろう。現時点では、少なくとも経済社会委員会の枠内で、社会福祉領域の関連組織相互の交流プログラムが実施され、各国関連組織間の情報・経験交換が為されている26)。
連邦レヴェルでは、少なくとも、連邦家庭高齢者女性青年省(Bundesministerium fpr Familien,Senioren,Frauen und Jugend)と連邦労働社会秩序省(Bundesministerium fur Arbeit und sozialordnug)が社会福祉組織に補助金を供給している、また州レヴェルでは、ノルトライン・ヴェストファーレン州の場合、労働保健社会省(Ministerium DurArbeit,Gesundheit und sozialesdes Landes Nordrhein-Westfalen)が、社会福祉領域の担当である、そして、市町村レヴェルでは、ボン市の場合、少なくとも児童青少年家庭局(Amt fur Kinder,jugend und Familie)と杜会福祉局(Sozialamt)が関与している。

 

 

 

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