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なお、今回利用した資料は、まず日本から関連社会福祉団体および行政機関に書簡にて協力と資料提供を依頼し、それを受けて協力回答のあった機関に対して直接訪問、もしくは現地での電話により、インタヴューを行って収集した、入手した文書資料は、章末の文献一覧中の一次資料として全て掲げてある。また、若干の二次文献も渉猟した。

 

2. ドイツの公益法人制度

 

ドイツで公益法人の処遇を受けるためには、何らかの法人格を得た団体が、その特定の活動に関して公益性(Gemeimmptzogleot)を認可してもらう必要がある。日本の場合、この公益性の認可が当該法人の活動分野毎に主務機関が異なり、認可を下す所轄が異なる事となるが、ドイツでは、この手続が一元化されて、手続上簡素である点が特徴である。ここでは、便宜上、対象となる法人が、登記社団(eingetrager Verein:e.V.)の場合と、そうでない場合に分けて説明したい3)。

 

(1) 登記社団
一定の活動を目的として組織を結成する場合、登記社団として法人格を取得するためには、当該組織の本部所在地を担当する簡易裁判所(Amtsgericht)による登録審査(民法第21条)を経なければならない一この審査のためには、創始者7名以上(民法第56条)の名簿と社団の定款を必要書類として、当該簡易裁判所に申請なければならない4)。この定款には、活動の公益性を謳った公益性規定と、常設機構として理事会と総会の設置規定を盛り込む必要がある(公課令第60条)5)。
これと並行して、当該社団の公益性が本部所在地担当の税務署(Finanzamt)によって審査される。公益性は、スポーツ、青少年・高齢者援助、教育・保育、芸術・文化、開発援助・助成、環境・景観・記念物保護、救命活動、消防・自警活動、動物保護、消費者相談、男女同権促進といった多岐に及ぶ活動目的に対して承認される(公課令第65−68条)6)。こうして公益性が承認されると、当該社団は、当該簡易裁判所が管理する登録名簿に登記され(民法第55条)、法人格を取得する。ここで、注目すべき点は、当該社団の公益活動が、本部所在地の簡易裁判所ないし税務署の管轄区域を越えて波及する事が予め明白な場合でも、あくまで公益性の判断は当該税務署が行い、名簿への登録は当該簡易裁判所にて行われる事である。この公益性判断の一般的基準として通達が出されており、判断解釈に関す

 

 

 

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