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市民活動に関する援助(とくに資金援助)が適正に行われているか、また援助を受けている団体が、公益性・公共性を担保しているか、行政による不当な市民活動への介入がないかなどといった問題に対応し、市民の疑問や不服な事項への対処を担当するものである。
今後、米国のように市民活動団体が多数生まれ、行政が独占してきた公共サービスの多くを担うようになると、行政からの援助や委託も増加してくるであろう、多くの市民団体の中には、行政と業者の癒着ような関係をもつものがでてこないとは限らない。また、団体の中には、公的な資金援助を受けながら組織運営が不透明なものも生まれてくる可能性もある。その意味でも、市民団体について調査権をもった第三者機関も必要である。その際、行政による市民活動への干渉とならないためにも、この第三者機関には強い独立性と実質的な市民参加が必要となるのである。
(c) 第三セクターから市民セクターへ
現在、地方自治体は多くの外郭団体(第三セクター)によって行政が担いきれない事業を処理している。こうした第三セクター方式は、民間活力の導入という美名の下に、現実には自治体職員の定員管理や直営ではやりにくい仕事の処理に利用された側面もある。それゆえに、行政がもっていた非効率や縦割り構造を受け継ぎ、結果的に赤字を抱えて行政の支援に頼らざるを得ない状況にあるものも多い。
したがって、そうした第三セクター方式の行き詰まりを打開するためにも、これまで第三セクターがになってきた業務のうち、可能なものは市民セクターに移行することも射程に入れてよかろう、現実には、福祉やまちづくりの分野で第三セクターが担っているのと同様の業務を市民活動が担っている例も多く、今後そうした傾向はますます強まっていくものと思われる。もちろん、第三セクターの中にも必要不可欠なものはあろうが、累積赤字を抱え、存在価値を疑われるような外郭団体は、もちろん失業や不当な労働強化を慎重に避けながら縮小・統廃合し、公共サービスの担い手の役割を市民セクターに移行させていくことが必要である。

 

5. むすびにかえて−市民と行政の新しい関係

 

(1) NPO法制定と地方自治体
市民活動支援を行うために行政が何らかの施策を実施するための制度整備として、数年来「市民活動支援法」に類する法律(NPO法)の制定が急がれている。法案は1997年3

 

 

 

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