
(e) 市民活動支援政策の課題 いくつかの例をあげながら、地方自治体による市民活動支援の現状とポイントについて見てきたが、ここでは、それらを整理し、市民活動支援政策の課題についてまとめておきたい。 ここまでのところで明らかになったことは、地方自治体が行う市民活動支援政策は、いくつかの先進的事例をみながらも、未だ多くの問題を抱えているということである。ここで示したいくつかの問題に共通しているのは、支援する市民活動団体の範囲をどうするか、また、支援政策を展開するための組織体制をどうするのかということである。 福岡市では、市民活動支援の充実に向けて、市民課の下で区制度改革を含めた施策を展開し、まちづくり等の分野で市民活動支援の政策を展開してきた。また、川崎市でも全庁的な体制で、市民活動支援政策について検討してきた、そこで、担当者からしばしば指摘されるのは、市民活動の把握ひとつとっても、行政分野別の縦割り構造に市民活動団体も仕切られており、総合的な市民活動支援政策の展開が難しい点がある、これは、多くの自治体で見られる問題であり、行政文化が生んできた縦割り行政の弊害の例であろう。 このことは、市民活動に参加しようとする住民のサイドから見ても、活動分野ごとに担当する窓口が異なり、情報を得たり、相談にいったりする際の煩わしさを不可避とすることを意味するものであり、こうした点の改善が今後課題となろう。 また、それにも関連するが、各所管課ごとに仕切られた市民活動団体を、総合的に政策支援していくために、どのような団体を支援対象として認定していくのかという問題がある。結論をさきどりすれば、現行の公益法人の認可制度にみられるようなものではなく、準則主義にもとづき、明確な基準に基づくことが求められる、そのためには、後にみるように、市民活動について検討する第三者機関の設立も検討されてよい。また、どのような団体を支援したのかについての情報公開など、透明性の確保も重要である。現在、いくつかの自治体に見られるように、資金援助の基準や対象団体などについて情報が全く公開されていない点は、極めて問題である。 4. 市民活動支援のための自治体行政の役割
前節ではいくつかの地方自治体の例もみながら、市民活動支援政策の現状について議論してきた、そして、あわせて市民活動支援をめぐる論点についても、言及してきた、そこ
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