
明確な概念化ではないと断ったうえで、この図によって民間非営利活動の内容を整理し、市民公益活動の位置づけ、関連する周辺概念との関係が明らかにされる、以下、その説明部分を引用しよう20) ・民間非営利活動は、不特定の他者の利益に積極的に寄与する民間公益活動と、必ずしもそのような性質の強くない狭義の民間非営利(非公益)活動に分けられる。 ・ここで言う「非営利」とはその活動によって利益を得ることを目的とせず、また利益得てもそれを出資者に還元しないことを言い、対価を得る事業や有償の就業を否定するものではない。 ・民間公益活動はさらに、行政による認知や支援の強い「補助系」と、確立した基盤をもって行政からの独立性も高い「自立系」と、自立を指向してはいるものの社会的には不安定な状況にある「流動系」に分けることができよう。 ・市民活動は、市民の自主的な参加と支援によって行われる活動のことを言い、自立系・流動系の民間公益活動、狭義の民間非営利活動、および一部の民間営利活動を含む。 ・市民公益活動は、その市民活動のうちの、公益的性格の強い一部を指す。 ・なお、民間公益活動やその中の市民公益活動には、自ら特定の活動を行うことだけではなく、他の活動を資金的に支援する助成行為も含むものと考える。 やや複雑と思われる図の概念について、このような説明がなされている。ここでこの概念化の意義の主なものをしめしておこう。第1に、政府の外郭団体の活動と民間公益活動を区分したことである。従来、公益法人として一括されていた組織に一線を画することができる。 第2に、民間公益活動に「行政補助系」「自立系」「流動系」という段階を設定したことである。組織的な差異を強調する分類が多いだけに、この段階設定は、とりわけ行政との関係を考察する際の重要なポイントを与えることになる。また、諸外国との比較を行うばあいもこの類型は有意義であろう。 第3に、企業の営利活動を組み入れたことである。メセナ、フィランソロピー等企業の社会的貢献活動については、従来より市民活動に準じたものとして紹介されてきたが、営利活動の一部を市民活動の範躊に含めることについては存外指摘されなかったことである。これは、収益性の確保を目的の1つとする「市民事業」が近年多様化してきていることの反映でもあろう。
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