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はしがき

 

今日、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するため、国民生活重視の立場に立っての行政を確立することが大きな課題となっており、これに伴う行政の諸改革が要請されている。
地方分権の推進は、この行政の諸改革において中心的テーマの1つである。すでに地方分権推進委員会が設置され、昨年には中間報告と第1次勧告が出されている。そこでは、国・地方間の新たな役割分担についての基本的考え方の整理、機関委任事務制度の廃止と新しい事務区分への事務のふりわけ、国・地方間関係に関する新たなルールづくりが新機軸として盛り込まれるとともに、国−都道府県−市町村間の関係の枠組みさらに自治体の行政体制の改革への課題についても言及されている。
このように今回の地方分権改革によっては、現在の地方自治制度は大きく姿を変える可能性がある。もっとも新たな国と地方の役割分担の構築には、多様な要素の相互関連性を織り込んだ行政システム全体の改革が必要になるだろう。たとえば、それは国の政策立案、総合調整機能等のありかたにも波及してくる。
そこで本調査研究では、現在の諸問題と将来的に予測される諸課題を検討しながら、国・地方の行政システムの21世紀に向けての展望を試みた。本調査研究が、今後の地方分権改革に関する議論に際して参考に資することができれば幸いである。
調査研究体制は別に記したとおりであるが、研究委員各位をはじめ、現地調査にご協力いただいた関係各位に対して、また、多大な補助をいただいた財団法人日本船舶振興会に対して、深く謝意を表する次第である。

 

平成9年3月
財団法人行政管理研究センター
会長 佐倉尚

 

 

 

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