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本計画で提案するLRT路線は、少なくとも大気汚染公害の面では全く問題のないシステムであり、大気汚染防止の意味から推奨できるものと考えられる。

 

7.3.2 景観

 

ケープタウン市は、テーブルマウンテンに代表される山塊が海岸線に近接した独特の景観を有し、観光資源の基盤を形成している。また、“Tavern of the Sea”と呼ばれ、古くから栄えた歴史的な市街地を持ち、伝統、文化的な面で興味ある景観を残しており、市の開発計画にもこの種の自然、文化資産を後世に残すことが重要な方針としてうたわれている所である。
この意味で、市当局、市民が景観形成に寄せる関心は高く、景観形成フレームワークとして、その基本理念が示されている(City Bowl Growth Management Strategy)。
その基本的な方向は中心市街地をいくつかの景観軸(Landscape Web)でカバーし、この軸を中心として価値のある都市景観を形づくることとなっている。W/Fはこの景観軸の端部として位置づけられており、開発事業にあたって景観的配慮を特に要求される地点にあたると考えられる。
今回計画したLRTは一般道路を平面に走行するシステムであり、町並みと調和した車体カラーを選ぶ等の工夫により、沿道の歩行者やビルからの眺望において視覚面でのインパクトを軽減できるシステムといえる。また、高架軌道を用いる他のシステムと異なり、天空率の低下がなく、周辺の町並みによるスカイライン、遠景となるテーブルマウンテン等の貴重な景観を妨げる恐れのないシステムであり、景観保全の面からも最適なシステムということができる。

 

 

 

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