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3.5 中心市街地の交通需要

 

(1)通勤トリップ
先に示した通勤トリップのODパターンから中心市街地における3ヶ所のスクリーン毎にトリップ数を求めると図3−12の様になる。A−A’断面はCBDを囲むスクリーンであり、約13万トリップとなる。これはケープタウン市で調査した朝ピーク2時間における交通手段別トリップの流出入合計値13万トリップ(表3−3参照、1991年値)に一致している。この都心流入交通の手段内訳は自動車と鉄道で85%のシェアーを占め、自動車(約56千トリップ)の多くが都心にアクセスするフリーウェイを利用しており(58%)、大半が郊外に起点を持つ長距離トリップとなっている。鉄道についても全てケープタウン駅で降車するメトロの利用者であり、長距離通勤トリップに他ならない。すなわち朝方の通勤時間帯における都心流入交通はフリーウェイや鉄道といった長距離幹線交通施設がその主役となっている。注目される点は、CBDの手前に位置するC−C’断面のトリップ数の方が都心断面を上廻っている事実である。すなわち郊外からの通勤トリップはその全てが都心(CBD)を目指すわけではなく、一部はCBDの手前に位置した地域に集中している事が分かる。これは中心市街地における従業人口分布が必ずしも都心(CBD)に一極集中していない事からもうかがわれる現象といえる。
(2)その他のトリップ
現地で入手した交通資料には、通勤以外のトリップに関するデータは殆どなく、中心市街地に発生集中すると考えられる業務目的等のノンホームベースにトリップははっきりしていない。しかし、中心市街地におけるゾーンスキーム(都市計画用途地域に相当)によると、CBDのやや右寄りNew-Market St.の沿道部や、更に東側Woodstock地区等は商業地域や工業地域指定がなされており、CBDとこれらの地区を結ぶ業務トリップの発生が大いに予想される所であり、その多くは自動車を利用したトリップであろうと想像される。

 

 

 

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