
2.3.4 現状都市交通の問題点
(1)道路交通
ケープタウン都市圏においては過去10年間にわたり熱心に道路施設の整備が続けられたが、交通需要の増加は供給を上回る勢いで進行したため、各所で道路混雑現象が顕在化してきている。特に朝方ピーク時の混雑が深刻な状況にある。
その結果道路走行速度は80年代に平均40?q/hであったのに対し、90年代には34km/hに低下してきている。
道路ネットワークの問題として?@道路交通需要の約85%が幹線道路を中心とするネットワークの63%に集中し、効率的利用が損なわれている事が指摘され、道路網の適正配置が課題となっている。?A信号処理のまずさ等により交差点での交通処理の効率が低下している、がある。
道路交通問題の一端は道路網そのもの以外にも指摘され、むしろ道路施設の供給不足の問題より、居住地から就業地への通勤距離が遠隔化してきたケープ都市圏の都市構造に基本的な問題がある事も認識する必要がある。
このような状況の下、自動車交通量の増大と混雑による費用増に伴い、都市圏の通勤コストに著しい増加が生じている。80年代にはkmあたり凡そ10Rと推定される平均費用に対し90年代は、約15Rと50%の増加となっている。
問題解決にあたっての方針として、これまで通りの道路整備の強化で対応出来るか否か疑問が多い。すなわち上記の通り道路輸送効率の低下は主として朝方ピーク時の受給ギャップにあり、全体としては道路容量供給は満足されており、問題の根本は朝ピーク時における過大な自動車交通量の存在であり、需要に合わせた道路容量供給を進めるのは無駄が多く、しかも一定の限界がある事を十分認識し代替案の検討をより広い視点から検討する必要がある。
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