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競争力をもっており、国内の船舶需要を消化する以外に、輸出船の受注にも積極的である。
スペイン政府は、産業公社(Instituto Nacional de Industria"INI")、産業信用銀行(Banco de Cr'edido Industrial "BCI")などを通じて、国内船ならびに輸出船建造に対し有利な信用供与などを各種の援助を行なっている。
従って、スペイン船主の新船発注は、政府の助成もあるので、殆ど国内に発注しており、海外発注は高度技術を要する複雑な船舶以外は、極めて稀である。
それ故、新造船発注の際の契約条件は、特に船価、支払い方式、決済期間(延払い)、納期が重視されている。
一般に、小型船のほかは支払いは延払いとなるケースが多いが、これら条件についてはOECDの一般協定に従ったものである。
また、一般慣行としてスペインに限らずEC諸国は国際慣習の範囲内で契約条件が決定されている。
(E) 取引ルート
既に述べた通り、スペインは強力な造船国であり、しかも船舶輸出国でもある。従って、スペイン船主に対し海外発注への関心を深めるためには、彼等の要望に応じた短納期、経済性など利点のPRと、国内造船所では困難な高度の技術を要する特殊船、専用船、フェリー、液化ガスなどの複雑な設計と生産技術を要する船舶のPRに努力することが肝要である。
それ故、船主と絶えず接触できる機会をつくり、わが国造船業の最新の技術的情報を提供し、高度の技術を駆使した性能、短納期、適正船価などの有利性を、特殊船、専用船などを中心にPRし、船主の購入意欲を高めることが、取引きへのルートになる。
 
(7)競争相手国との競争条件の比較
(A) 延払い、船価、品質等条件の比較
スペインは、EC加盟以前には国内造船業を保護する目的で、外国船舶の購入を
 
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